2017-04-23
砂塵の中をキャラバンが行く
砂に焼けた頬
乾いた眼窩
陽は未だ落ちない
彼等の目的は何だ
東へ東へ
商品は運ばれる
産み出す利益こそが
彼等のモチベーションだ
地位や名誉には興味がない
歴史に名など残すものか
俺達は商人だ
東へ東へ
こんな海峡など
越えてしまえ
歴史が始まるもっと前から
続々とこの国に商人集団がやって来る
動物を獲ったり
木の実を摘んで
その日その日を暮らしてたこの国の人々は
海の向こうの見たこともない品々と
米や鉄を生産しては売り歩く
初めて見るビジネススキームに驚愕し
モノの価値という概念を知る
歴史が始まる頃にはすでに
彼等の王国は築かれていた
だが商人は歴史に名など残さない
秦氏など名を残す者は
政治介入の夢でも見てたものか
どうやら彼等が
鳥居を建てて社を建てて
神様を祀る神社の形式を
この国に持ち込んだらしい
彼等の神様の名は
倉稲魂命ウカノミタマノミコト宇迦能魂命
神社の数では日本で一番の
お稲荷さんのことである
戦乱の歴史が続く中でも
商人達は西へ東へ
この国中を駆けずり回る
歴史に名など残さない
だけど時代の
主役は俺達なのさ
江戸時代には名を馳せる豪商が登場する
江戸に進出してきた三井家が
この三囲神社を奉斎するのは
何も偶然ではなく
あの古代商人の神様ウカノミタマを
祀っているからだ
明治の世となり
武士が刀を捨て西欧に渡り
初めて見るビジネススキームに驚愕する
経済の仕組みを西欧から取り入れた
なんて言っているが
明治政府の田舎侍が無知だっただけで
歴史が始まる前から綿々と
古代商人の末裔達によって
既に専ら経済活動は行われていたのである
そしてその出自は
模範とすべしと言われた
シルクロードの起点に
繋がるのだ
大学出たら企業に就職してと
皆が商人になりたがる時代
砂漠の果てに
夢の国ジパングはあるだろうか
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