2017-11-26
男は深く思考する
誰もが軽薄に短絡に
ペラペラと
体良く場を取り繕うその中で
男だけは深く思考する
そして
男の重たい口が開く
太く低い声で語られる言葉は
暗闇となった世界に
光明を取り戻す
秩父の駅を出た刹那
嘘のように雨雲が掻き消え
武甲山が顔を出した
秩父神社の神奈備山
威容を誇る霊峰
街は生糸とセメントで栄えた
巨大な資本が流れ込み
仕事を求めてまた人が集まる
人の集まるところには必然
遊廓ができる
秩父神社の周辺に
こぢんまりと繁華の街は凝縮し
その残渣が今も
嘗て生まれたであろう
無数のドラマを想起させ
訪う人を魅了する
秩父神社の祭神は
八意思兼命ヤゴコロオモイカネノミコト
アマテラスが岩屋戸に籠もった際に
引きずり出すべく計画を練った
知恵者である
ニニギの天孫降臨の際に
アマテラスが訓示を垂れるシーンで
傍に控える幹部としても描かれる
ここで再び
神武以前のニギハヤヒ王朝の存在を伝える史書
未だ偽書と言われその内容を認めてもらえない
先代旧事本紀の記述を見てみよう
ニギハヤヒ王朝では
日本全国各地に国造クニノミヤツコを置き
その支配を磐石なものとしていた
国造の制度は
実に大和朝廷以前から確立されていたものなのだ
ニギハヤヒ王朝の幹部連のリストがある
各地に配置された国造や連ムラジ達の
祖神としてその名が連ねられている
オモイカネもまたリストアップされた一人なのだ
頭の良い男だったのだろう
ニギハヤヒのブレーンとして
大いに活躍したに違いない
それら幹部の子孫達が
各国へ国造として派遣されたということだ
リストにはアメノウズメやアメノコヤネの名も見える
ニギハヤヒから神武へと王権が譲位された際に
国造の制度は継承され
そのまま大和朝廷に従う者
或いは抵抗し消されていった者
そして記紀には
都合の良い記述で事実が捏造隠蔽されていった
というのがどうやら見えてくる結論だ
頭の良いオモイカネ或いはその末裔は
己の身の振り方を考えたに違いない
大和朝廷に従ったのは
記紀にその活躍と名を残していることで
明らかだ
ここ秩父も国造が置かれていたらしい
つまり嘗てはニギハヤヒ王朝の
支配下にあったということだ
オモイカネのカネは金であり
鉄や銅の生産地だったのかもしれない
武甲山には神座たる巨石など
ニギハヤヒの系譜を物語る信仰装置が
いくつも残っていたそうだ
富国強兵の石灰採掘で
今や悉く破壊され消滅しているが
秩父神社の社殿配置を見て欲しい
本殿両脇には
恭しくアマテラスとトヨウケヒメ
つまり伊勢神宮を配置
そしてその裏側には
天神地祇社として
全国の一宮の神を
これでもかとばかり集結させている
抵抗するなよ
わかってるだろうなと
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