威徳稲荷大明神
2013-09-17


新宿のど真ん中に突如現れる巨大な男根
艶やかな女の白い手が
愛おしそうにそいつを撫でる

新宿花園神社の境内社のお稲荷さんに
木製の巨大な男根が祀られている
無機質な高層建築群の奥底で
こんな過去の牧歌的なものを見つけると
救われた気になる

だけど男根崇拝の心理は
過去のものだけでもないようだ
オリンピックの東京開催が決まり
経済効果が高まるらしい
仕事が増えて結構なことだが
それに便乗して
お台場にカジノを作るだの
地下鉄を24時間にするだの
欲を助長すれば経済が上向くだろうなんて
馬鹿にしやがって
行政の考えることはいつの世も
どうせ碌なもんじゃない
これから先
いくつもの男根を載せた神輿が登場するんだろう

アスリートのストイックさは学ぶべきことだ
勝利のひととき乱痴気騒ぎをするのも大いに結構
だけど
ヒステリックな健康指向や
上っ面のナショナリズムや
体育会的なファシズムを強要するのは
どうにも勘弁してくれ

男根崇拝的でまた兵隊気質丸出しの
奴らの下卑た冷やかしが僕の心臓を荒ませた
(「裏切られた心臓」A.ランボー、堀口大學訳)

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威徳稲荷大明神
東京都新宿区新宿5丁目17-3 花園神社境内社

[新宿区]
[稲荷]

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