猿田彦大神
2013-09-07


庚申の夜だというのに
男は眠りについてしまった
不覚にも
深い眠りについてしまった

男の口が突如大きく開き
顎の関節はギシギシと音を立てる
男の口からは
虫が
三尸の虫が這い出してくる

虫は屋根を突き破り
真直ぐ天空へと上昇する
天帝へ
男の悪事を告げ口する為に

江戸時代
民衆の間で大ブームとなった庚申待ち
悪事をチクられては大変だと
その夜は皆で集まって寝ないことにしようと
朝まで酒を飲んだり祈祷をしたりして過ごす

それにしても
悪事をしないようにしようとは思わないのが
昔の人のすごいところだ
日本中いたるところに
3年(18回)連続開催記念の庚申塔が建立される

いつもは早く寝なさいと怒られるのに
今日は寝ちゃだめと怒られる子供達や
憧れのあの娘に会えるのでウキウキする若者など
想像するとなんだか楽しそうな集いだが
二ヶ月に一度の定期開催は
さすがに鬱陶しい感じもする

明治以降
庚申待ちは迷信として排斥され
街道筋の庚申塔は悉く破壊される
太陽暦への転換で
三尸の虫もいつ出てきたらいいのか
腹の中で悩んでるに違いない

現代においては
自然災害による緊急避難くらいしか
近所の人が一堂に集う機会などない
コミニュケーションツールが発展すればする程
人と人の距離は何光年も遠ざかる

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巣鴨庚申堂 猿田彦大神
東京都豊島区巣鴨4-35-1

[豊島区]
[猿田彦命]

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