幾千の星を波立たせ
巨大な船が銀河を往く
その艦首に佇むのは一人の男
遥か下方に太陽が現れる
男の横顔が浮かび上がる
威厳と自信に満ちたその顔
男はこの地を選んだ
ヒノモトのクニ
日本の国と
この地を呼んだ
轟音とともに船は着地し
男とその一族が降り立った
争いを好まぬこの地の人々は
男らの不思議な力に魅了される
月を読み歳を読み
人為的に作物が得られることを知った
土を掘り風を読み熱を操り
人為的に金属の道具が得られることを知った
次々に繰り出される神の言葉
男は人々の神となった
男は幾つもの名前で呼ばれた
大歳オオトシ
天火明命アメノホアカリノミコト
饒速日命ニギハヤヒノミコト
そして極め付けのフルネーム
天照国照彦天火明櫛玉饒速日命
アマテルクニテルヒコアメノホアカリクシタマニギハヤヒノミコト
何とも長い名前である
隕石のように天から降ってきて
天と地を賑わいで照らしまくるこの男を
畏怖と崇敬を持って
人々がその名を呼んだことは
容易に想像できるだろう
似たような話で思い出すのは
古事記や日本書紀における天孫降臨の件
天照大神の命によって
天照大神の孫である邇邇芸命ニニギノミコトが
高天原に降り立つ
その曾孫である神武天皇が大和の地に入り
初代天皇となって現代まで続いてるというのが
もっぱら巷間の常識だ
だがよく考えてみよう
神武はニギハヤヒから皇位を譲られているのだ
古事記や日本書紀を著すにあたって
先代の大王の活躍ぶりは
どうにも不都合極まりなかったのだろう
天から降ってきたなんていう
格好いい件はパクってしまえと
悉くこっち側に取り込んでしまった
というのが真実ではなかろうか
ニギハヤヒとニニギ
なんとなく名前が似てるしね
ひょっとして
僕らがイメージする日本の神様の代表
天照大神も実は
パクリの産物なのかもしれない
もう一度ニギハヤヒのフルネームを見て欲しい
その名の先頭に「天照」と明確にあるではないか
歴史と伝統溢れる権威の塊のあの伊勢神宮が
実はカラッポだったなんて
果たして言い過ぎでありましょうか
銀河を渡ってきたあの船は
大阪府交野市の山奥に現存する
大王の譲位の後
その役目を終えた船体は
すっかり石と化してしまったが
陰茎のように聳り立つ艦首は
あの男との船出を
今でもきっと待っている
磐船神社
大阪府交野市私市9-19-1
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