小野神社〓武蔵国一之宮
2017-10-15



河岸にある小さな小屋
今日も機を織るあの音が聞こえる
小屋の中には一人の処女が
カミの訪れを待っている
年に一度
海からやってくるカミ
その肩に
織り上げた衣を
震える手で
そっと

機織りの歴史は古い
旧石器時代には既に行われていた形跡があるという
中国では紀元前3500年頃には
絹織物の生産が行われていた
機織りや養蚕の技術が
大陸や半島から次々に
日本にも伝わってきたのだろう

天の川を隔てた牽牛星と織女星
七夕の夜に一度だけ
会うことができるという伝説が
奈良時代に中国から渡ってきた時には
すでに似たような伝説が
日本にはあったのだという

その起源や由来が
奈良時代にはほとんど
忘れられたものとなっていたのかもしれない
年に一度訪れるカミのために
衣を織る棚機つ女タナバタツメ
それはカミに仕える巫女であり
瀬織津姫セオリツヒメもまたその一人

先代旧事本紀センダイクジホンギという
史書がある
推古天皇の命により
聖徳太子と蘇我馬子が
記したとあるが
江戸時代の学者に偽書と判定され
日陰に追いやられている書物である

この書には記紀にはない記述が多くある
高天原から天降る際に
32人の将軍が護衛を務めたのもその一つ
物々しい程の軍団
将軍の一人が
天下春命アメノシタハルノミコト

武蔵国一之宮であるここ小野神社には
祭神として
瀬織津姫と
天下春命
が祀られている

そして
瀬織津姫はあのニギハヤヒの妻であり
高天原から天降ったのは
ニニギではなく
ニギハヤヒである

そして
瀬織津姫も天下春もニギハヤヒも
巧妙に歴史から抹殺された
何もなかったかのように
古事記も日本書紀も口を閉ざす

だけど
こんな関東の地において
ニギハヤヒに関連する神社が存在している
しかも社格は一之宮だ
古におけるこの神の強大な影響力は
想像に難くないだろう

七夕まつりをはじめとした節句や
正月にお盆の風習
仏教は後からやってきて乗っかっただけだ
そんな懐かしい習わしは
どうやらニギハヤヒの時代からのものなのだ

存在を抹消したいという力と
それでも現代まで神社が残っている事実
たくさんの人の忖度があったのだろう
日本人は
実に千年以上の時間を
忖度に費やし続けている
そりゃあ簡単に
癖は抜けないわな

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小野神社
東京都多摩市一の宮1-18-8

[多摩地区]
[饒速日命]

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