赤羽八幡神社
2019-08-04



爆音の渦の中
それに負けじと男の声は伸びる
戦いの歌を
勝利の歌を
高らかに謳い上げる

赤羽はエレファントカシマシの街だ
彼等がデビューした時の衝撃は忘れない
夜中のテレビに現れた彼等は
牙を剥き出しに
糞ったれの社会をさらには
全世界を相手にケンカを吹っ掛けてた
ように見えた

新譜が発売される毎に
その楽曲は深化し
しかしその方向はどこまでも内面へ向かう
そして4枚目くらいで完全に昇華仕切った
ように聞こえた

耳障りも差し障りも良く無いし
カラオケで歌うような代物でも無いし
こりゃ売れねえよな
っていう彼等の楽曲が大好きだった

音楽雑誌かなんかで
赤羽出身っていうのを見たのか
それからは赤羽といえば
エレファントカシマシになった
訪れたのは初めてであるが

赤羽駅から程近く
赤羽八幡神社はある
坂を登り新幹線の高架をくぐると
鳥居が見えてくる
最近では関ジャニのファンが訪れる事で有名
ってどうでもいい話だな

土器やら鉄片やらが出土し
どうやらここには古墳があったらしい
坂上田村麻呂が東征の拠点にした
という伝承があるらしいが
聖地の上にズカズカと踏み入って
踏ん反り返っていたに違い無い
さぞや先住の人々から顰蹙をかったであろう
つまり御多分に洩れず
聖地の上に八幡神を乗っけることで
征服のシンボルとしたのである

その後その手法は踏襲され
源氏や太田道灌など
その威を人々に示し続ける装置として
八幡神社は崇め奉られた

時は流れて戦前
赤羽駅周辺は一大軍都として栄える
旧陸軍工兵第一大隊の駐屯地は
神社の境内を侵食し
その営内を鉄道の引込み線が走った
軍用地として摂取された後
人々の通い慣れた坂道は
通行禁止となったらしい

そして戦後
旧軍用地には団地が立ち並び
上越新幹線は神社の真下を潜り抜ける
もう東国の勢力なんてあるわけ無いのに
何を恐れているのだろう
無残に征伐された蝦夷の怨霊が
鉄路に乗って都心に入るのを
防ごうとしているのかもしれない

見えてくるのはいつも
支配者と被支配者の歴史
虐げられた人々は
糞ったれと吐き捨てて
不貞寝するしか無いのだろうか
時に現れる錬金術士たちの言葉や旋律に
慰めを見出すのもまた
生きる術なのかもしれない

「我も彼等に負けまいと
 優しい日本の四季を見て
 これも浮世と諦めて
 涼しげに
 人の思いは十人十色
 優しい言葉を掛けるのもいい」

(「見果てぬ夢」エレファントカシマシ)

禺画像]


禺画像]

赤羽八幡神社
東京都北区赤羽台4-1-6

[北区]
[誉田別命]

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